モジズリ (別名 ねじ花・ねじり花)
この花の名前の由来は、平安、鎌倉時代の陸奥信夫地方(現在の福島県中通り地方)、
特産の絹織物 信夫捩摺(しのぶ もじずり)の文様(捩じり模様)から来ているそうです。
福島県福島市山口に信夫文知(文字)摺 (しのぶもちずり)遺跡があります。
平安時代に詠まれた有名な和歌が有ります、百人一首(河原左大臣・源融)の
「みちのくの しのぶもじずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに」 です。
源融(とおる)は、かの有名な『光源氏(ひかるげんじ)』のモデルと言われています。
光源氏は平安のプレイボーイとしても有名ですが、京の役人として東北陸奥(みちのく)の
塩窯(現在の宮城県塩釜)への赴任途中に福島のしのぶの里に立ち寄ったとされています。
このしのぶの里で庄屋の娘(虎女)と恋仲になり1ヶ月ほど暮らしたが、融に塩窯から迎えが
来て、結局二人の恋が成就することは無かったそうです。
今なら赴任途中に1ヶ月も道草していたら、即刻首ですが、平安の頃は実にゆったりと時
が流れていたようですね、徒歩か牛車しかない時代ですから当たり前かもですね。。
しかし、源融は、実際には陸奥国に赴任しない「遙任」*であったとされている文献もあり、
真相は平安ロマンの藪の中といったところです。
*遙任(ようにん)…国司に任命されながら任地に赴任せず、実際は目代といわれる代理
人を赴任させ税を徴収することを指します。 |
モジズリ (別名 ねじ花・ねじり花)
花が捩れてネジを巻くように咲くことから「ねじ花・ねじり花」とも言われます。
ただし、捩れ方は右巻、左巻、巻かないもの等バラバラだそうで、遺伝の法則を無視した
咲き方をするそうです。
これは欄(ラン)の仲間で、花の一つ一つを見るとランの仲間だと判るそうです。
この花の名前の由来を知ると源融の平安貴族の優雅さと、虎女の可憐さの両方を兼ね
備えているようで、実にいい花に見えてきますね。
虎女と言う名前は、今の時代ではエッ虎???変な名前と思いますが、平安時代に日本で
実物の虎を見た人は存在せず、想像の動物で気品のある綺麗な動物と
考えられており、女性の名前として「虎(とら)」は好んで付けられたそうです。
平安の昔、陸奥(みちのく)は、京の公家達にとって、今で言うエキゾチックな土地で憧れ
の地であったそうです。
信夫文知摺についてはこちらのホームページを参照してください。
芭蕉も訪れて俳句を詠んでいます。
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