万世大路土木遺産認定フォーラム 報告


鹿摩貞男様より『「万世大路」選奨土木遺産認定フォーラム』の
ご報告が届きましたので下記に掲載いたします。

「万世大路」選奨土木遺産認定式についてはこちらをご覧ください。
 
 10月6日(土)、「万世大路」選奨土木遺産認定記念フォーラムが米沢市の山形県置賜総合支庁に於いて開催され
ましたので、その概要を報告いたします。


当日は150名を超える熱心な皆様の参加があり、大滝会からも木村義吉会長他10名が聴講しています。

パネルディスカンションでは、大滝会の木村義吉会長・鹿摩特別会員からの発言もあって、会場は大いに盛り上がりました。

また、コーディネーターの後藤光亀・東北大学工学部準教授から大滝会HP「わが大滝の記録」には、万世大路や
大滝のことが詳しく取りあげていて大いに参考になるので、是非見て下さいと紹介がありました。
その中で、トップページの他、「巨大氷柱探訪記」の写真などがPP(パワーポイント)で大きく写し出されました。
   
                                     大滝会ホームページの紹介


 (1)「万世大路」選奨土木遺産認定授与式

 
「万世大路」選奨土木遺産認定 授与式 風景
 

記念フォーラム 風景


まず最初に「万世大路」選奨土木遺産認定授与式がおこなわれています。

授与式に先立ち、県北建設事務所長(福島県)・置賜総合支庁長(山形県)から祝辞がありました。
次に、後藤光亀准教授(土木学会東北支部選考委員)から選定内容の説明がありました。
その中で後藤准教授は、万世大路の土木遺産受賞理由について次のように述べています。

『 万世大路は、「明治・昭和期の先端土木技術を駆使し、山形・福島両県の物流並びに人の交流と絆を育んだ
歴史的地域資産 』である。

認定証の授与は、公益社団法人土木学会小野武彦会長(代理)から萬世大路連絡会田畑實会長に授与された。

 また引き続き後藤光亀委員((社)土木学会東北支部選奨土木遺産選考委員会)から賞牌が梅津幸保副会長に
授与された。

※土木学会選奨土木遺産とは
  社会へのアピール、土木技術者へのアピール、まちづくりへの活用などを促すことを目的に近代土木遺産
(幕末〜昭和20年代)を対象として、(社)土木学会が毎年認定をおこなっているもの。

因みに東北では、野蒜築港・安積疎水・万世大路がビッグ3と云われる。


(2)記念講演・基調講演 

  〔記念講演〕

 最初に、(株)太平洋コンサルタント解析技術部長沢木大介氏(工学博士)から、「歴史的建造物のコンクリートに
化学分析のメスを入れる」と題し記念講演がありました。

 現在の栗子隧道のコンクリートの危機的な劣化状況の詳細な説明やセメントの知識など分かり易い解説を織り
交ぜながら講演をして頂き大いに参考になったところです。

関連して、野蒜築港や古代ローマについて興味深いお話がありました。


  〔基調講演

次に、「時代が土木に求めたもの」と題し上杉博物館学芸主査・角屋由美子氏による基調講演がありました。

特に福島(米沢)街道(板谷街道)については、米沢藩による交流・物流が盛んであったことなど興味深いものが
あります。

明治以降万世大路開通によって米沢・福島の交流が深まり、福島市に万世町や置賜町の名前があることなどは
その現れであろうというようなお話がありました。


(3)パネルディスカンション

 パネルディスカンションは、「土木遺産を継承し未来に生かす〜地域づくりと土木遺産」というテーマで、
後藤准教授をコーディネーターに、5名のパネラーの方から次のような発言(概要)がありました。


  ・角屋由美子氏(上杉博物館学芸主査)

     基調講演で講演されたことに関連して、置賜地方のその時代その時代の、時代背景が土木に求めたもの
    ということで発言がありました。

     特に、万世大路の建設が行なわれた背景等についてお話がありました。


  ・阿部公一氏(万世大路研究会代表)

     万世大路の建設工事に関するお話とその魅力について話が
     ありました。

     道路工事やトンネル工事の歴史的な話題、道路やトンネルの
     構造など大変分かり易く説明されています。

     明治期栗子山隧道は、当時として日本では最長(L=867.3m)
     であったことなども報告されました。


                                                         
  ・梅津幸保氏(歴史の道万世大路・万歳の松保存会副会長)

     地域づくりと地域の宝の保存活動などについて発言されました。              

     新たに発見された「浜崎木麟の万世大路図(水墨画)」、明治14年開通の時に配布された開通記念の盃、
     昭和の大改修竣功時の記念絵はがき等の紹介がありました (いずれも会場に展示)。           
    


  ・辻雅人氏(米沢市立万世小学校校長)

     万世大路を子供たちと歩く行事や地域の歴史をどのように伝承していくかなどについて発言されました。

     万世小学校の校歌に万世大路が歌われていていることなど、万世大路と共に歩んだ歴史について紹介
     しています。

     その校歌の歌詞は7番まであるけれども2番を下記に記しておきます。

      [ いにし明治の一四年 十月三日の駐輦(ちゅうれん)を仰ぎ奉りし御跡(みあと)にて 
                                       いともたふとき庭なるぞ ]


  ・田畑實氏(東北中央自動車道建設促進万世地区協議会会長)

     第4世代の道路として現在高速道路が建設中であることに関して発言がありました。

     この度の東日本大震災において福島県から山形県に避難している人が大量におられ、いかに道路が
     重要なものであるかを再認識されたというお話がありました。

     この中では、現在の東北中央自動車道・栗子トンネルの工事状況について、福島河川国道事務所の
     土田建設監督官から報告がありました。

     併せて、東北中央道の完成は平成29年度を目標としていることも報告されました。



  以上の通りのパネリストによる発言があり、

  そのあと後半は会場参加者も加わってのディスカッションとなっています。

  その中で、冒頭紹介した大滝会木村義吉会長の発言もありました。

  木村会長は、「万世大路は大滝の生みの親である。これからも大切にしていきたい。
  できる限りのご協力をしたい。」という趣旨の発言をされています。


熱心に聴講される大滝会の皆様

 
発言する大滝会木村会長
 

                      以上 報告者 鹿摩貞男 様